上映会「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」(1)

 今年1月12日、映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」の上映会がスペースオルタ(横浜市港北区 オルタナティブ生活館内)で行われました。地震が多い日本において、原発との関係を描いたこの映画は、今後関心が高まっていくと思います。参加者は130人を超え、会場は満席となりました。組合員以外の参加も多く、「脱原発、脱炭素と再生可能エネルギーへのエネルギー転換の加速を求める署名」や、11日に発生した能登半島地震被災者支援の募金にもたくさんの方が協力してくださいました。お気持ちを寄せて下さった方々、上映会に来てくださった方々、ほんとうにありがとうございました。次につながる糧となりました。


  

上映会を告知するチラシには「よって原発の運転は許されない」という樋口元裁判長の力強いことばが明記されています。


この映画は2022年に公開されました。内容は、福島第一原発事故以降、初めて仮処分以外で、原子炉を運転してはならないと司法判断を下した、樋口英明元裁判長のドキュメンタリーが軸になっています。「生存の権利」を最高峰とした、誰もが納得する判決です。差し止めた原発は福井県の大飯原発3号機と4号機。能登半島地震が起きた場所の近くにあります。 

上映会当日、来場者に宛てて樋口元裁判長からのメッセージが代読されました。そこには、今回の地震と原発の関係も書かれていました。震源地である珠洲市には以前、原発の建設計画がありました。28年にも及ぶ住民の根強い反対で白紙に戻されています。さらに震源地近くの志賀町は震度7。そこには、運転再会をまさに今年進めようとしていた志賀原発があるとのことでした。樋口元裁判長は「この地震は自然界からの最後の警告かもしれません。原発の危険性を知った私たちの責任は極めて重いものがあります。」と結び、後に続く人たちのために、私たちが原発を止めていく必要性を示唆しました。


130名の来場者で会場は満席に。「新聞を見た」「友だちに誘われた」など組合員以外にも多数の参加がありました。(中央は、映画に込めた思いを語る小原浩靖監督)

 福島原発事故を転機に原発を全て廃止したドイツは昨年2003年4月15日に最後の3機の原発を送電から断ち、原発エネルギーの時代に終わりを告げました。いまドイツは、再生エネルギー事業に乗り出しています。

生活クラブでも、遊佐町で共同米開発や再生可能エネルギーを使った発電に携わる、上映会ゲストの池田恒紀さんは、同じくゲストで登壇した、二本松営農ソーラーの近藤恵さんとともにドイツやデンマークを視察しました。今後は座談会などを通して、見てきたドイツやデンマークをはじめ、世界のエネルギー事業について伝えていくとおっしゃいました。


樋口元裁判長からのメッセージを読み上げる山崎秀理事。聴き入る参加者の中には、感動して涙したひとも少なくありません。 


樋口元裁判長は続けて、綴ります。「原発は実は耐震性が低く、そのため事故発生率も高いということ。しかも運転を止めても停電しただけで原子炉を冷やせなくなり重大な事故を引きおこすこと。私たちの常識は通用せず、安全は誰にも確保できないこと」と。そして、私たちの国には太陽光はじめ、風力水力地熱をはじめとする自然エネルギーに満ちあふれているから原発はやめても大丈夫。原発問題はむずかしくない。安全性が低いから止める。その行動をみんなで続けることが大切、と伝えてくれました。

 次回は再エネについてのお話をレポートします。再エネ事業も、脱原発裁判同様に、とてもパワフルで、新時代を予感させるお話でした!

(横浜北環境平和委員 田中友貴)

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